前回は、スーツに合わせるコートを買うときに意識したい点について書きました。
今回は、雑誌やお店でよく見るスーツの上に着るコートについて、特徴や注意点について書いていきたいと思います。どのかたちのコートを買うべきか迷われている方は、参考一つの意見として読んでいただければと思います。基本的に一般的な特徴と、私が着て感じたことを中心に書いています(ダブルのチェスター以外は全て購入して、実際にスーツの上着として使っていたことがあります)。ただ10年前に買ったものもあるため、モデルチェンジや流行の関係で、多少現在の印象と異なるものがあるかもしれませんが、ご了承ください。
■ステンカラーコート(バルマカーンコート)
サラリーマンのコートといえば、このステンカラーを思い浮かべる方も多いと思います。まさにザ・サラリーマンのイメージなので、若い人はあえて避けることも多いようです。確かにコットンベージュのステンカラーは、おじさんのイメージがありますが、黒や濃紺にすると意外とスタイリッシュに見えたりします。特に2プライス店など若い人向けのお店で売られているものは細身に作られているので、関西的に言うと「シュッとした」雰囲気に見えますよ。またステンカラーコートの特徴として、機能面にこだわっている商品が多いことも挙げられます。表地には雨風に強い素材、裏地には取り外しのできるライナーをつけ、寒さから悪天候まで対応できるようにしているものも見かけますね。
ステンカラーコートにも、デザインの一環としてベルトがついたものがありますが、ベルトがつくだけでクラシックなイメージがぐっとモダンに見えますね。ステンカラーのデザインに興味があるけど、ちょっと渋すぎるかな・・・と思われている方は、ベルト付きのものを着てみるといいかもしれません。ちなみに私はステンカラーのコートはコットン素材がよいと思うのですが、ベルト付きのものについてはウール素材も悪く無いと思います。
■マッキントッシュのゴム引きコート
一時期まで日本のステンカラーコートの代名詞と言えばバーバリーでしたが、いつからかマッキントッシュのゴム引きコートの存在感が大きくなってきました。正確なところはわかりませんが2005年頃、丸紅が資本投下した頃から雑誌での取り扱いも増えてきたように思います。私もBeginか何かの雑誌の影響を受けて、その頃はまだ7万円ほどだったベージュのダンケルドを、(確か)青山のラガゼッタで購入したのを覚えています。ギャバジンとは違うマットな風合いとモダンなシルエットがとてもスタイリッシュで(なんかアホっぽい文章やな)、まだ暖かいのに無理して着て行って、ずっと手に持っていたこともありました。とにかくカッコ良かったのです。ただマッキントッシュには避けては通れない素材の特性があります。臭う、蒸れる、(素材が硬いので)かさばる、普通のクリーニングに出せない、そのうえ高い・・・マッキントッシュのコートを買おうか迷われている人は、こうした特性についても勘案したうえで検討されるようにしてください。ただ、やっぱり、かっこええでぇ・・・・スーツ用コートの王道とは言えないけれど、抗しがたい魅力もあるのがマッキントッシュのゴム引きコートです。
最近はamazonでも並行輸入品が出ているんですね・・・。
■トレンチコート
最近若い人に人気なのが、トレンチコートです。ミリタリー系のディテールがほどよいデザインアクセントになっていますし、コットン素材や明るめの色がダークスーツとコントラストになり、お洒落心を満足させてくれますね。そうした若者からのニーズや、スーツの細身・丈短化の影響でしょうか、デザインの幅もかなり広がってきていまして、特に着丈についてはかなりのバリエーションがあります。今の細身のスーツであれば、リンク画像のような膝よりもやや上の丈の方がしっくりくるかもしれません。ステンカラーと同じくコットンの製品が主流ですが、リンクの商品のように、取り外しのできるライナーのついたものであれば通年着ることも可能です。色については個人の好みもあると思いますが、ステンカラーと比べても単体で男前なコートなので、黒にすると結構ハードな印象になりますのでご注意ください。
■チェスターフィールドコート
スーツに合わせるコートの王道は、やはりこのチェスターフィールドコートではないでしょうか。フォーマルなデザインで着ていく場所を選びません(もちろん室内では脱ぐ前提ですが)し、お尻の下までウール(やカシミアなど)で覆われるため、保温性が非常に高い。ジャケット似た形状のため、スーツの延長でスタイリングもできる。まさに、スーツで仕事をする人のためのコートといえるでしょう。チェスター選びの際に特に注意したいのは、肩です。最近はスポルベリーノ(
参考1、
参考2)と呼ばれるパッドや芯地を入れないコートも増えてきましたが、チェスターは基本的にばっちり肩パッドが入っています。ジャケットの上にさらにパッドを乗せることになるので、サイジングを間違えるとかなりいかつい肩になってしまいますのでご注意ください。
なおチェスターフィールドコートは堅いデザインなので、ある程度年を取ってからの方が似合うように思います。もし若い方でチェスターフィールドコートを着たいと思われる方は、着丈のやや短いものを選べば、今の細身のスーツとも相性がよいように思います。なおクラシックなスーツと合わせる場合は、膝丈くらいをお勧めいたします。なおチェスターフィールドコートについては過去にも記事(
「チェスター買うなら」)を書いていますので、こちらも参考にしてみてください。
ちなみに現在私が狙っているのはダブルのチェスターです。
今季のSnap LEONでもチェスターといえばダブルばかりでしたよ~
■キルティング
キルティングジャケットも雑誌の猛プッシュにより、一部のおしゃれ好きの人々にスーツの上着として認知されてきました。上着としてはかなり安いのが魅力ですね。ラベンハムのナイロン素材であれば3万円を切っていたと思います。また着丈が短いので若々しいイメージもあります。ただ上着の裾からジャケットのベントが見えてしまっているのはいただけません。スーツの上着が短い人はよいですが、お尻が隠れる丈のジャケットを着ている方は、上着も長めを選んだほうがですがスマートです。確かマッキントッシュのキルティングジャケットは、ラベンハムよりも着丈が長めに作られているので、ラベンハムが短いと感じる人は、サイズを上げる前にマッキントッシュの方も試着してみてください。
ただ一点注意してほしいのは、実は一般の人からすると、スーツの上着としてはかなりカジュアルな印象で見られているということです(クロークに入れていたとき女性用のコートと勘違いされたことがあります)。職種やシチュエーションによっては相応しくないと思われることもあるかもしれませんので、意識しておいてください。
ざっと4+1種類の代表的なコートについて、その特徴と注意点について書いてみました。11月になるとお店に並ぶコートの数も増えてきますので、お店に行く前の検討の参考になれば幸いです。
以上は私の所感の部分も多いですが、もっと本格的にコートの特徴や着こなしなどをご覧になりたい方は、
BEAMS中村さん監修のメンズファッションの教科書シリーズがお勧めです。
先ほど私が紹介した4型以外にダッフルコートなども加えた代表的なアウターの種類16型についての概要説明とそれぞれのコートのバリエーションや着こなし例の紹介はもちろん、
ディテールや素材・柄の基礎知識、着こなしに関する一問一答、いわゆる定番品(マッキントッシュ、バブアー、ラベンハム、ヴァルスター他15種)の誕生秘話、
さらには手入れ・保管方法、用語集に雑学集と、コートに関するあらゆるトピックについて簡潔にまとめられた良書です。着こなし例については中村さんの監修ということで、ちょっとひねりの入ったお洒落なコーディネートになっています。よければ合わせて参考にしてみてください。
テーマ : ビジネスファッション
ジャンル : ファッション・ブランド